あとがき

あとがき

 仏教、また真宗を紹介した書物は沢山出されておりますが、学術書は別として一般に紹介された書物は専門的な字句の解釈に流れたり、又は信仰談にとどまっているように思われ、痒いところを靴の上から掻いているようなもどかしさを禁ずることが出来ませんでした。

それは、著者の責任ではなくて、仏教、真宗を一般の人々に了解せしめることがいかに困難であるかを物語っているのであります。しかし宗教や真宗に関心を持ち始めた人たちに、これを読んでみなさい、と自信をもって勧めることのできる本が少ないと云うことは、宗門にとっても又、私自身にとってもさみしいことであります。

 そうした事を常に頭に描きながら、スッと頭に入り、なるほどと了解できる一本の論理の通った本が欲しいと考え今日まで来ました。今回、身障者の不自由を顧みずこうしたところに目標を置いて、この小本を世に送ることにしましたが、再三読み直してみるときに、私の悲願達成は遙か彼方にあることを感じます。しかしそうしたなかに道を求める人々にこの小著が何らかの手がかりになればと、念願する次第であります。

執筆と申しましてもペンの執れない私は口述して、家内や子どもその他の人々の手を借り原稿に書き、それをテープに移して何回となく聞き直して字句を訂正し、ようやくまとめることが出来ました。

 仏教には普請(ふしん)という言葉があります。これは普(あまね)く衆力(しゅうりき)を請(こ)う、という意味でありますが、私は今この感をいよいよ深くするものであります。この小著の発行に当たり、全く縁の下の力持ちとしてかげから理解ある力強い協力をいただいた多くの方々に、心からお礼申し上げます。読者の皆様の温かいご指導、ご助言をいただければ幸甚に存じます。

 此の書に続いて、私の味わっている『歎異鈔』と『正信偈』を世に送りたいと念願しています。